シフクノジカン 甲斐翔真 × <茶寮伊勢 藤次郎>の藤次郎名物 伊勢御膳

――今回訪れたお店「茶寮伊勢 藤次郎」ですが、店内の雰囲気はいかがですか?
窓際の席が多くて、渋谷の街を眺めながら和食をいただけるというロケーションが、とても素敵でした。しかも自然光が入るので、写真を撮ったりするのも良いですよね。(取材日の)今日みたいに晴れている日は、特に気持ちがいいですし。
窓越しの景色を楽しみながら食事ができるのは、良いなと思いました。
――以前、アルバイトをされていたことも思い出されたそうですね。
そうなんです。高校時代に飲食店でアルバイトをしていて、ドリンクを作ったりしていました。だから今回のお店に入ったときに、当時のことを少し思い出しました。雰囲気もどこか懐かしくて。高校生の頃なので、もうだいぶ前の話ですけどね(笑)。
――では、料理についてもお聞きしたいのですが、お店名物の「伊勢御膳」を食べてみた感想は?
伊勢うどんがすごく印象に残りました。あのタイプのうどんは初めて食べる食感でしたね。柔らかくなっているというより、あえて柔らかくしているそうで。その歯触りがクセになりました。醤油だれも香りが良くて、ちょうどいい甘さがあるし、すごく食べやすかったです。海鮮てこね寿司も、絶品でした。
■藤次郎名物 伊勢御膳 2,123円

伊勢名物 伊勢うどんや海鮮てこね寿司がセットになった、伊勢の美味しさをたくさん味わえる欲張り御膳。 ※伊勢志摩産あおさ味噌汁、茶碗蒸し、日替わり小鉢付
――こちらのお店は、伊勢と渋谷ヒカリエにしかないそうですよ。
そうなんですか!?伊勢の名物がいろいろ食べられるだけでなく、加えてすごく特別感がありますね。また、手こね寿司のお米も三重県産の「結びの神」という品種を使っているそうで、初めて聞きましたが粒立ちも良くて、酢の加減もとても美味しかったです。
――デザートの「純生あんみつ」、「冷たい伊勢抹茶」のドリンクも、かなり気に入られていた印象でした。
抹茶が好きなので、抹茶を使ったドリンクで美味しかったですし、「純玉あんみつ」はフルーツもお餅もたくさん入っていて本当に具だくさんで、下に隠れている抹茶アイスがまた絶品でした。黒糖のソースもかかっていて、これは全部混ぜて食べたほうがオススメです。
あと蓋がついていて、それを開ける瞬間も楽しいんですよね。季節によってフルーツが変わるそうなので、また違う時期に食べてみたいです。
■純生あんみつ 1,408円

北海道産小豆と濃厚な伊勢茶ソフトクリーム、旬のフルーツを贅沢にボリュームあるスイーツ。 ※果物は季節により異なります
■冷たい伊勢抹茶 528円

三重県産の香り高い伊勢抹茶を、すっきりと冷やして味わえるドリンク。
――ここからは企画のテーマでもある“ご褒美”についてお伺いします。前回は「作品が終わったとき」とおっしゃっていましたが、最近、ご褒美をあげたいと思った瞬間はありましたか?
作品が終わったときはもちろんですが、最近は、自分の機嫌を取るために「自由な時間」をあえて作ることがあります。なんとなく今日やる気が出ないな、というときに頑張るのをやめてみるというか。少し時間があれば散歩したり、あえて何もしなかったり、意味のない時間を過ごしてみるんです。そうすると意外とリフレッシュできるんですよね。
――「何もしない時間」て、実は一番贅沢だったりしますよね。
そうなんですよ。常に動いていると何もしないことって逆に怖くなりますが、1日くらいそういう時間があっても良いんじゃないかなと思います。
僕も「今日はちょっと気分が上がらないな」という日は、もちろんありますし。そういうときに、無理やり頑張るのではなくて、一度立ち止まってみることも大事で、それが一番贅沢なのかもしれないと思います。
――では、そんなときに食べたくなる“ご褒美ご飯”はありますか?
最近は…何だろう…あ、うなぎですね!
――うなぎはテンションが上がりますよね。
うなぎって、蓋をパカッと開けた瞬間からテンションが上がるじゃないですか。匂いが来て、見た目もあって。うなぎは年中食べられますが、高い料理でもあるし、頻繁に食べないからこそ、“ご褒美感”があります。気合いを入れる感じにもなるし、エネルギーもつくので。
――食べ物の好き嫌いはあまりないそうですが?
そうですね。パクチー以外だったら、だいたい大丈夫です(笑)。
――パクチーだけ苦手なんですか?
はい。香草全般というわけではなくて、パクチーだけダメなんですよね。でも、それ以外は結構なんでも食べます。特に和食は好きですね。全般好きですが和食の奥深さと、何より“日本人を感じられる安心感”が好きなのだと思います。

ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、アメリカ兵クリスとベトナム人少女キムの悲恋を描いた不朽の名作『ミス・サイゴン』(※10月16日から東急シアターオーブにて上演)。今回4年ぶりの再演ということで大変注目されている。
――近況についてもお伺いします。ミュージカル『ミス・サイゴン』にご出演されますが、出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
もちろん受かりたくてオーディションを受けたので、決まったときは嬉しかったです。ただ実際に決まってみると、『レ・ミゼラブル』などのような、こういったクラシック系のミュージカルは意外と今までやったことがなくて。歌唱法もポップスとは違いますし、そこに対する不安はありました。でも、それ以上に「やってみたい」というワクワクのほうが勝っていましたね。
――不安よりも「挑戦したい」という気持ちが強くなったのですね。
そうですね。ミュージカル俳優をやっていくからには、誰もが憧れる作品の一つだと思います。不安ももちろんありますが、今は稽古していく中で、この作品に挑戦する意義をどんどん見つけている感じですね。
舞台ってミュージカルでもストレートプレイでも、その時代を投影していくことが大事だと思うんです。作品自体は昔からあるものでも、“戦争”というテーマは今の時代にもつながっているからこそ、作品を通して、戦争はどういうものなのだろうと、改めて見つめ直すきっかけに自分自身もなれば良いと思っています。
――先ほど歌唱法についてもお話されていましたが、これまでとは違うのでしょうか?
ポップスの現代的な音楽ではなく、『ミス・サイゴン』はオーケストラで作り出す音楽なので、そこにポップスの歌い方を持ってくると、声が浮いてしまうと思うんです。音楽は楽器だけじゃなくて、声もその一部として、そこに“引っ掛かりや違和感”がないようにしたい、というのはあります。とはいえ、自分の個性まで無くしたくはないので、そのちょうどいい塩梅を今、研究しています。難しいですが、頑張っています(笑)。
――ファンの方々にとっても、新しい歌声が聴ける楽しみがあると思います。
そう思ってもらえたら嬉しいですね。僕自身が逆の立場だったら、普段あまりやっていないジャンルに挑戦する姿を見たらワクワクすると思いますし。これまで僕がどういう歌を歌ってきたかをご存じの方ほど、「今回はどうなるんだろう」と、期待してもらえるんじゃないでしょうか。
――どのようなクリスを作っていこうと思っていますか?
“クリス”という名前の役を演じますが、同じような状況に置かれた人は、当時たくさんいたわけですよね。だから「クリスをどう作るか」というより、その時代をかなり調べています。なぜベトナム戦争が起きて、なぜクリスはベトナムに行って戦争をしているのかなど。
日本もそうですが、当時のアメリカでは18歳以上の男性が徴兵される制度があって、自分の意思で戦争に行ったわけではない人もたくさんいたと思います。そんな中で、人を殺さなければならなかったり、仲間が死んでいったりする。そういう状況に置かれた人間の心を、いきなり理解することはできないので、まずは外側の部分を知ることから始めています。
――出演が決まった後に、今年終戦50年を迎えたベトナムの戦争を知るために、現地の戦争資料館を訪れたそうですね。
とても興味深かったです。ベトナム戦争終戦から今年で51年になるということで、日本よりも戦争が終わってからの時間が、30年ほど短いんですよね。だから、戦争を実際に経験した人がまだたくさん生きていらっしゃる、ということが大きく違っていて。日本では、戦争の記憶を語り継いでいく方が少しずつ減っていっていますが、ベトナムでは銃弾の跡や地雷の問題、枯葉剤による後遺症など、戦争の傷跡を実際に目の当たりにしました。
形容するのが難しいですが、自分が今まで知り得なかった世界を見た、という感覚に近いですね。人間として、とても大きな経験になりました。
――実際の場所に立つことで、感じ方も変わるのでは?
そうですね。日本もそうですが、世界中を調べれば戦争をしていない国なんてないと思うんです。日本だって昔はいくつもの国に分かれていて、いろいろな争いがあって、そういう歴史を一つずつ調べていくと、自分の先祖にも感謝したくなりました。戦争資料館に行ったときも、「これが日本の、自分が今立っているこの土の上でも起きていたんだ」と考えましたし。そう考えると失礼に生きていられないな、と思います。
――アメリカ兵であるクリスを演じるからこそ、戦争そのものを体現する必要があると?
結局、一人の人間を描くことだと思っています。戦争だから、現代だからという話だけではなくて、愛だけでは生きられなかった人間を描く。クリスも、本来は兵隊になりたかったのかというとそうではなくて、徴兵されているわけですから。ついこの間まで、学校の先生をしていた人が戦地に行くことだってあります。そういう不可抗力に巻き込まれていく人間を、できるだけリアルに見せたいです。
――鑑賞を楽しみに待つ方々へ、作品・クリスに対する見どころを教えてください。
観た方がどう感じるか、見たまま感じたことが正解なのだと思います。「きついな」「嫌だな」と思うのも正解ですし、それが戦争を描く作品だと思うので。僕はできるだけ、今の時代にも起きていることを作品の中に入れたいと思っています。演劇を観て終わりではなくて、その先に何か新しい気づきにつながったり、視点を共有できたら良いなと思っています。

「風、薫る」では陸軍二等軍曹の小川吾郎を演じた。出演後は、ドラマが日本中に届けられているという実感が沸いたそうで、「絶対に僕のことを知らなかっただろうな、という世代の方からもSNSをフォローしていただくことがあって嬉しい」。
――とても楽しみです。また甲斐さんは、朝ドラ「風、薫る」にも出演されました。朝ドラ初出演ということもありますが、演じながら気をつけた点はありますか?
朝ドラは国民的なドラマなので、全国の皆さんに届くというのは嬉しかったです。しかも小川というキャラクターは、ヒロインの直美にとってある意味“救い”になったり、居場所を作ってあげたりする存在ではありましたが、小川自身も実は居場所がなくて、軍人という職業に自分の居場所を見つけた人物です。そう考えると直美さんと小川は、それぞれ違う形で自分の居場所を探しているという部分で、共鳴するところがあったのではと思います。
――ヒロインとの関係性にも、共鳴するところがあったんですね。
あの時代、女性がバリバリ働いて、男性に強い口調で物を言ったりすることは、今よりずっと珍しかったと思うんです。そんな中で直美さんは違っていて、小川は女性でありながら組織を取り仕切るような姿を見て、カルチャーショックを受けたと思いますし、男女関係なく「カッコいい」と感じたんじゃないかと思います。
そういう2人の関係性がすごく素敵に描かれていたし、最後は切なさもあって。最初はケンカから始まるような関係って、恋につながっていくこともありますから(笑)。
――確かに(笑)。ちなみに、小川のキャラクターと甲斐さんご自身が似ていると思った部分はありますか?
僕も思いは結構ストレートだと思います。でも、何でも包み隠さず言うタイプかというと、そうではなくて、人の心に土足で入っていくようなことはしないです。小川は、土足というより、本当に「分かっていない」んですよね(笑)。でも、だからこそ、まだ何にも染まっていない、白いキャンバスみたいな純粋さがあるのだと思います。
――その“純粋さ”は、ご自身はいかがですか?
思いの純度という意味では、似ているところがあるかもしれません。僕の中で、「ピュアで、なおかつ物知りな人」ってすごく人間力があると思っていて。ピュアっていろいろありますが、普通は、いろいろなことを知っていくほど、どんどんピュアではなくなっていくものじゃないですか。でも、物を知ってもピュアさを維持できる人っていると思うんです。
思いって、本来は真っ直ぐなものなのに、なんで曲がっちゃうんだろう、と思うことがあって。でも、思いそのものはできるだけ真っ直ぐでありたいと思っています。そういう意味では、僕が理想としている人間像と、小川は結構近いところにいる気がします。
――人間関係でも、ストレートに伝えることを大切にされているんですね
思っていることは、ちゃんと伝えたほうがいいですが、何でもそのまま言えばいいというわけではなくて、特にネガティブなことは、相手にちゃんと伝わるような工夫をしたほうが良いとは思います。相手を傷つけるためではなく、自分の思いをきちんと届けるためにということで。
――今年は、業界に入って10年という節目の年でもあると思います。今後思い描いているものはありますか?
俳優としてどうなりたいかというのは、結局「人としてどうなりたいか」と同じなんじゃないかと思っています。営業マンや事務職、税理士、弁護士などどんな職業でも、それぞれの仕事に対して、コミットする方法や専門性は大事ですが、それ以前に結局は人として成長していないと何もできない。特に俳優には資格もないし、「こうなれば一人前」という明確なものもないですよね。だからこそ、自分の思想や思考がどんどん変わっていくことを大切にしたいです。「これが正解だ」という固定観念を持つことは、なるべく避けたいと思っています。
――新しい役や、これまでとは違う役が来ても、挑戦していきたいですか?
苦手だと思っていたことでも実際にやってみたら世界が広がることってすごく多いので、常に挑戦はしていきたいですね。自分の考えが本当に合っているのか、ずっと疑い続けることも大事なのかなと思っています。それが、自分の中にある概念を壊していくことにもつながると思うので。
――自分の考えを疑い続けるというのは、なかなか難しいと思います。
難しいです。でも、僕は結構そういうタイプな気がします。自信がないということとは違って、揺るがないものは一つ持っていて、その上で、「これは本当に合っているのか」と考えて、そこから概念を壊していけるのかを考えたいです。僕は自分が感じたことをメモに残すのですが、1ヵ月後に見返すと「何、言ってるんだろう、浅いな」と思うこともあります(笑)。でも、それって良いことだと思うんです。そのときは本当にそう感じていたわけで、過去の自分を「浅い」と思えるということは、そこから成長しているということでもありますから。
――最後、この記事をご覧になっている日々を頑張っている方へのメッセージをお願いします。
僕は、あまり人に「頑張れ」って言わないんです。その人がどれだけ頑張っているかなんて、誰にも分からないですし、「頑張ってるよ」って思っている人に、何も考えずに「頑張れ」と言ってしまうのは違う気がして。だから、それぞれが、それぞれのペースで頑張っていることを、お互いに尊重し合うことが一番なのではと。
お互いを尊敬し合える世界になったら、一番幸せですよね。その人の人生や、その人の庭は、その人にしか整えられないから、ただ一緒にいることでも良いと思います。
――言葉をかけることより、そばにいることが大切な場合もあるんですね。
僕は、そう思います。その人が話していることを聞いて、「すごいね」って言うだけでも良いんじゃないでしょうか。それで少しテンションが上がって、また頑張れることもあると思いますし。言葉だけで何とかしようとするより、行動がすべて。一緒にいることがすべて、ということもあるのではないかなと思います。
【東京公演】
2026年10月16日(金)~11月29日(日)
会場:東急シアターオーブ
【大阪公演】
2026年12月5日(土)~17日(木)
会場:梅田芸術劇場 メインホール
【福岡公演】
2026年12月24日(木)~27日(日)
会場:福岡市民ホール 大ホール
【静岡公演】
2027年1月8日(金)~11日(月・祝)
会場:アクトシティ浜松 大ホール
【北海道公演】
2027年1月17日(日)~24日(日)
会場:札幌文化芸術劇場 hitaru
甲斐翔真 かいしょうま/1997年11月14日生まれ、東京都出身。
2016年に特撮ドラマ「仮面ライダーエグゼイド」のパラド/仮面ライダーパラドクス役でテレビドラマ初出演。2020年に『デスノート THE MUSICAL』で初舞台にして初主演を務める。以降は舞台:『RENT』『マリー・アントワネット』『ロミオ&ジュリエット』『ネクスト・トゥ・ノーマル』『エリザベート』『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『イザボー』『キンキーブーツ』『マタ・ハリ』などに出演し、圧倒的な存在感を放つ。2021年、出演映画「偶然と想像」が第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。2026年には、NHK 連続テレビ小説「風、薫る」に出演。
『シフクノジカン』(Shifuku No Jikan) とは…

いつも頑張っている自分へのご褒美。
美味しいお料理を食べ、心も体もリフレッシュして頂こうという企画です。 『シフクノジカン』は個人の価値観やライフスタイルによって異なりますが、共通しているのは「心が満たされ、幸せを強く感じる瞬間」であるということ。 幸せを感じる瞬間を、著名人の方々にご自身のエピソードを交えて語って頂く連載企画です。
Photo:Hiroyuki Fujiki styling:Yuya Murata(SMB International.) hair & make:Akari Isono text:Misaki Ito
*2026年9月現在の情報です。内容など変更になる場合がございます。
*営業時間については、渋谷ヒカリエホームページでご確認ください。
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